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【会長コラム】vol.22 課題が多いときこそ、優先順位とロードマップをつくる

給食部門には、収支悪化、人手不足、食材料費や光熱水費の上昇、食事の多様化・個別化、委託会社の撤退、設備の老朽化など、多くの課題が同時に存在している。

給食関係者へのアンケートでも、部門経営、喫食者満足、栄養基準、食品衛生、人手不足、生産性、食材料費、業務委託など、ほぼすべての項目に問題があるという回答が多い。危機意識はある。しかし、どこから着手するのかという具体的な道筋が描かれていない。

すべてが重要だからすべてに取り組むという方針では、限られた人員と時間が分散し、結局どの課題も解決できない。課題が多いときこそ、優先順位とロードマップが必要である。

優先順位は四つの視点で決める

第一は影響度である。食事提供の継続、安全性、部門収支にどの程度影響するのかを確認する。

第二は緊急度である。委託会社の撤退や深刻な欠員のように、対応を遅らせれば三食提供そのものが危うくなる問題は、早急に手を打たなければならない。

第三は実行可能性である。公定価格の増額は最優先で求めるべき課題であるが、一施設だけでは決められない。一方、食種の整理、献立の共通化、勤務体制の見直し、完調品の試行などは、自ら着手できる。

第四は前後関係である。栄養基準や献立が複雑なままでは、完調品やセントラルキッチンを導入しても十分な効果は得られない。設備や方式を決める前に、業務の整理と標準化を行う必要がある。

短期・中期・長期に分けて考える

短期では、まず食事提供を止めないための対策を行う。同時に、収入、支出、人員、食種、作業工程、生産性を数値化し、問題の大きさと原因を明らかにする。ここで目に見える小さな成果をつくることも重要である。短期的な改善は、次の改革を進めるための信頼と推進力になる。

中期では、栄養基準、食種、献立、作業工程を整理し、給食システムを再設計する。完調品、外部生産、共同購入などを部分的に試し、効果を数値で検証する。担当者、期限、目標値を決めなければ、計画は実行に移らない。

長期では、生産の一元化、セントラルキッチン、地域共同生産など、給食経営の構造そのものを見直す。例えば、第一段階として食材の共同購入、第二段階として献立の標準化、その先に共同生産を置けば、大きな改革を段階的に進められる。

ロードマップは固定表ではない

将来計画をつくっても、実行しなければ意味はない。一方で、最初につくった計画をそのまま守り続けることも適切ではない。人員、価格、制度、委託環境は変化する。実行結果を測定し、状況に応じて優先順位や期限を見直す必要がある。

また、ロードマップを「今は何もしない理由」にしてはならない。中長期の構想を描きながら、今日からできる対策を始めることが重要である。

給食改革は、設備の導入や完調品の採用から始まるものではない。現状を数値で把握し、課題を絞り、実行する順序を決めることから始まる。限られた経営資源を最も重要な課題へ集中させることが、食事提供を将来にわたって継続するための条件である。

※HFSA News Letter 第13・20・23号の内容をもとに、普遍的なコラムとして再構成。

 

 

 

 

 

窪田 伸

株式会社ミールシステム 取締役会長
一般社団法人ヘルスケアフードサービスシステム協会 代表理事
1976〜2005年株式会社セントラルユニに勤務。
1980年〜1982年宮川フードサービス研究所に出向。
1994年に国内初のクックチルシステムをJA札幌厚生病院に納入。
1998年には国内初のニュークックチルシステムを柳原病院に納入。
2004年国内最大級のニュークックチルシステムを福井県立病院に納入。
2005年株式会社ミールシステム設立、代表取締役に就任、2018年同社取締役会長に就任。
2020年一般社団法人ヘルスケアフードサービスシステム協会 設立、代表理事就任。
2014年〜2022年一般社団法人日本能率協会「HOSPE×Japan」病院・福祉給食セミナーコーディネーター
2014年〜2016年一般社団法人日本フードビジネスコンサルタント協会理事
2019年〜2020年ヒトタ食品株氏会社取締役

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