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【会長コラム】vol.21 他施設比較は順位づけではなく改善点の発見に使う

給食部門の経営改善では、自施設の数値だけを見ていても、その水準が妥当なのか判断しにくい。食材料費、人件費、光熱水費、生産性などを他施設と比較することで、初めて自施設の特徴や改善余地が見えてくる。

ただし、他施設比較の目的は、優れた施設と劣った施設を順位づけることではない。数値の差がなぜ生じているのかを考え、自施設が見直すべき点を発見するために行うものである。

同じ単位に直して比較する

部門収支の総額だけを並べても、病床数や提供食数が違えば正しい比較にはならない。食材料費、人件費、光熱水費は一食当たりに直し、必要に応じて食数、生産量、労働時間との関係も確認する必要がある。

例えば、人件費が高い施設でも、特別食や個別対応が多く、手間のかかる食事を提供している可能性がある。反対に、人件費が低くても、欠員を残った職員の過重労働で補っているのであれば、持続可能な運営とはいえない。

数字の高低だけで判断せず、食種数、個別対応、調理方式、直営・委託、施設規模、稼働率などの条件をそろえて比較しなければならない。

価格差には原因がある

複数施設の米の購入価格を調査したところ、最も安い施設は一キログラム当たり510円、最も高い施設は840円であり、330円もの差があった。

この結果から、高い施設を単純に問題施設と決めつけるべきではない。米の品種、等級、産地、精米条件、納品形態、購入量、契約時期、地域、配送条件が異なる可能性があるからである。

重要なのは、差を見つけた後である。規格は同じか、共同購入は可能か、仕入先や契約方法を見直せないかを確認する。比較によって原因を分解すれば、価格交渉や調達方法の変更といった具体的な改善策につながる。

結果だけでなく仕組みを比べる

黒字施設や生産性の高い施設を見つけたときも、その結果だけをまねてはならない。どのような栄養基準や献立構成を採用し、何人で、どの設備を使い、どの工程を外部化しているのかまで確認する必要がある。

自施設との違いが、食種の集約、完調品の導入、共同購入、生産の一元化、勤務体制の見直しにあるなら、それが改善の手掛かりになる。一方、施設規模や地域条件による差であれば、同じ方法をそのまま導入しても同じ結果にはならない。

他施設の成功事例は、完成した答えではない。自施設に置き換えて検証するための仮説である。

比較を行動につなげる

他施設より数値が良かったことで安心し、悪かったことで担当者を批判するだけでは、比較する意味はない。現状を計数化し、差の原因を考え、現場で確認し、改善課題を選ぶ。そして担当者、期限、目標値を定め、実施後に再測定するところまで進める必要がある。

比較対象の選び方や集計条件が不適切であれば、数字は簡単に誤解を生む。だからこそ、比較結果を成績表として扱うのではなく、問題を発見する入口として使うことが重要である。

他施設に勝つことが目的ではない。自施設の給食を、より少ない負担で、安全に継続できる仕組みへ変えることが目的である。

※HFSA News Letter 第15・21号の内容をもとに、普遍的なコラムとして再構成。

 

 

 

 

 

窪田 伸

株式会社ミールシステム 取締役会長
一般社団法人ヘルスケアフードサービスシステム協会 代表理事
1976〜2005年株式会社セントラルユニに勤務。
1980年〜1982年宮川フードサービス研究所に出向。
1994年に国内初のクックチルシステムをJA札幌厚生病院に納入。
1998年には国内初のニュークックチルシステムを柳原病院に納入。
2004年国内最大級のニュークックチルシステムを福井県立病院に納入。
2005年株式会社ミールシステム設立、代表取締役に就任、2018年同社取締役会長に就任。
2020年一般社団法人ヘルスケアフードサービスシステム協会 設立、代表理事就任。
2014年〜2022年一般社団法人日本能率協会「HOSPE×Japan」病院・福祉給食セミナーコーディネーター
2014年〜2016年一般社団法人日本フードビジネスコンサルタント協会理事
2019年〜2020年ヒトタ食品株氏会社取締役

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