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【会長コラム】vol.20 SWOTは書いて終わりではなくクロス分析へ

給食部門の将来計画を検討するとき、SWOT分析が使われることがある。内部環境を強みと弱みに、外部環境を機会と脅威に分けて整理する方法である。

しかし、四つの枠に項目を書き込んだだけでは、現状を分類したにすぎない。強みや弱みが分かっても、それを経営改革にどう結び付けるのかが示されなければ、給食システムは変わらない。SWOT分析は、書いて終わりではなく、クロス分析によって具体的な戦略を導くために行うものである。

内部環境と外部環境を混同しない

病院給食には、一定の給食料収入と安定した提供食数があり、自前生産、外部完調品、セントラルキッチンなど、生産方式を選択できる強みがある。直営と委託を選べることも内部資源の一つである。

一方、収入増には限界があり、多品種少量生産、一日三食提供による厳しい労働条件、給食経営を担う人材の不足といった弱みを抱えている。

外部環境に目を向ければ、完調品やセントラルキッチン、新しい調理・再加熱技術、地域での共同購入や共同生産は、運営を変える機会となる。その反面、働き手不足、人件費や食材料費、光熱水費の上昇、給食業界の不人気化は大きな脅威である。

内部と外部を分けて整理するからこそ、自ら変えられる問題と、自施設だけでは変えられない環境変化が明確になる。

四つの組み合わせから戦略を導く

クロス分析では、強み・弱みと機会・脅威を組み合わせて考える。

強みと機会を組み合わせるSO戦略では、安定した食数を活かし、共同購入や共同生産によってスケールメリットを生み出すことが考えられる。

強みと脅威を組み合わせるST戦略では、自前、外製、委託、直営を選択できる強みを使い、人手不足やコスト上昇に耐えられるハイブリッド型の生産方式へ転換する。

弱みと機会を組み合わせるWO戦略では、多品種少量生産や複雑な工程を、完調品、セントラルキッチン、新しい技術の活用によって見直す。栄養基準、食種、献立、作業工程を整理し、標準化と省人化につなげる。

弱みと脅威が重なるWT戦略では、損失の拡大を防ぐ判断が必要になる。三食すべてを施設内でつくることを前提とせず、外部化する業務、縮小する業務、施設内に残す業務の優先順位を決める。非常時にも食事提供を止めない体制も検討しなければならない。

戦略を選び、数値計画へ落とす

クロス分析をすれば、多くの選択肢が出てくる。しかし、すべてを同時に行うことはできない。安全性と一定の患者満足を保ちながら、効率的に食事を提供するという方向性に照らし、優先する戦略を選ぶ必要がある。

そのうえで、給食料収入、食材料費、人件費、光熱水費、収支、必要人員を数値化する。担当者、期限、改善目標も定める。戦略を数値計画とマンパワー計画に結び付けて、初めて実行可能な事業計画になる。

ビジョンや戦略がないまま、調理機器の導入や外部委託といった戦術から入れば、何を解決するための投資なのかが曖昧になる。SWOTは分析表を完成させるための作業ではない。給食部門が進む方向を選び、具体的な行動へ移すための出発点である。

※HFSA News Letter 第16・20号の内容をもとに、普遍的なコラムとして再構成。

 

 

 

 

 

窪田 伸

株式会社ミールシステム 取締役会長
一般社団法人ヘルスケアフードサービスシステム協会 代表理事
1976〜2005年株式会社セントラルユニに勤務。
1980年〜1982年宮川フードサービス研究所に出向。
1994年に国内初のクックチルシステムをJA札幌厚生病院に納入。
1998年には国内初のニュークックチルシステムを柳原病院に納入。
2004年国内最大級のニュークックチルシステムを福井県立病院に納入。
2005年株式会社ミールシステム設立、代表取締役に就任、2018年同社取締役会長に就任。
2020年一般社団法人ヘルスケアフードサービスシステム協会 設立、代表理事就任。
2014年〜2022年一般社団法人日本能率協会「HOSPE×Japan」病院・福祉給食セミナーコーディネーター
2014年〜2016年一般社団法人日本フードビジネスコンサルタント協会理事
2019年〜2020年ヒトタ食品株氏会社取締役

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