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【会長コラム】vol.7 公定価格の不足だけを赤字の原因にしてよいか

病院給食の赤字を語るとき、最初に挙がるのは入院時食事療養費の低さである。公定価格が長く抑えられてきた一方で、食材料費、人件費、光熱水費は上昇している。現場の努力だけでは吸収できない部分があることは事実であり、食事療養費の増額は最優先で求めるべき課題である。

しかし、公定価格が足りないという説明だけで、給食部門の赤字をすべて片付けてよいだろうか。増額が実現しても、赤字の常態化が解消されるとは限らない。制度の問題を指摘すると同時に、自部門の経営構造も検証しなければならない。

外部環境だけを見ても赤字の構造は分からない

給食経営を圧迫する外部要因は明確である。公定価格の抑制、物価上昇、人件費の高騰、エネルギー価格の不安定化、人手不足である。これらは一施設の努力だけで変えられるものではない。

一方、内部にも検証すべき要因がある。食種や個別対応の増加、多品種少量生産、複雑な献立展開、人海戦術に依存した作業工程、割高な単独仕入れ、曖昧な事業計画、過剰な設備投資、そして給食全体を管理するマネジメントの不在である。

同じ制度の下でも、赤字の大きさや運営状況には差が生じる。その差を生む要因を明らかにしないまま、制度だけを原因と決めつければ、改善できるはずの問題まで見えなくなる。

収支を把握せずに制度だけを批判できない

まず必要なのは、現状を数値化することである。給食料収入と支出、一食当たりの食材料費、人件費、光熱水費、委託費、減価償却費を明らかにし、食種数、提供食数、作業人員、労働時間、生産性と結び付けて分析する。

ところが、給食部門には収支を把握する習慣がなく、経営目標も業務評価の基準もない施設が少なくない。目標がなければ、赤字がどこまで改善したのかも判断できない。現実を数値化し、単純化して、スタッフ全体で共有することから始める必要がある。

公定価格の不足を理由にし続けることは、内部の非効率や判断の遅れを覆い隠すことにもなりかねない。厳しい言い方ではあるが、部門としてまず反省から始めるべきである。

自ら変えられる領域に手を付ける

収支の構造が見えたら、改善可能な領域をゼロベースで見直す。栄養基準と食種を整理し、献立をグループ化する。多品種少量生産を見直し、自家生産と外部生産を組み合わせる。完調品、共同仕入れ、地域での共同生産も選択肢に入れる。人員配置や作業工程を再設計し、明確な経営目標を設定する。

新しい調理機器やセントラルキッチンを導入しただけで、経営が改善するわけではない。事業計画と運営設計が曖昧なままでは、設備投資が新たな経営負担になることさえある。

公定価格の増額を求めることと、給食部門の内部改革を進めることは、どちらか一方を選ぶ話ではない。外部に求めるべき改善は求める。そのうえで、自ら変えられる部分から行動する。赤字の原因を制度だけに預けず、給食経営の構造そのものを見直すことが、持続可能な食事提供への第一歩である。

※HFSA News Letter 第13・14・20・22・23号の内容をもとに、普遍的なコラムとして再構成。

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