給食は、単に利益を生むための事業ではない。病院や高齢者施設では、治療や療養を支える食事を毎日確実に届けることが第一である。しかし、だからといって、赤字でも仕方がないと考えてよいわけではない。
収支が成り立たなければ、人員も設備も維持できない。人がいなければ、献立や栄養計画があっても食事はつくれない。そして安全性が損なわれれば、給食そのものが成立しない。給食の持続性は、利益、人員、安全という三つの条件がそろって初めて確保される。
利益――赤字の理由を外部だけに求めない
食材料費、人件費、エネルギー費の上昇は、給食経営を確実に圧迫している。給食料収入が十分ではないという意見にも理由はある。しかし、外部環境の厳しさを挙げるだけでは、部門の経営は改善しない。
まず行うべきは、収入と支出を明らかにし、赤字がどこで発生しているのかを数値で把握することである。一食当たりの食材料費、人件費、光熱水費、委託費、設備費を整理し、食種や献立、作業工程との関係を検証する。給食経営を一気に黒字化することは容易ではないとしても、赤字幅を縮小し、収支均等を目指す努力は必要である。
ここでいう利益とは、利益だけを追求するという意味ではない。食事提供を継続できる経営状態を保つことである。
人員――今の業務を守るために人を探さない
労働者人口の減少は、給食現場を直撃している。これまでと同じ人数を集め、同じ食種数、同じ献立数、同じ作業工程を維持しようとしても、すでに限界がある。
必要なのは、採用だけに解決を求めることではない。栄養基準や食種を大幅に整理し、献立をグループ化する。多品種少量生産を見直し、自家生産と外部生産の役割を分ける。完調品や地域での共同購入・共同生産も含め、少ない人員でも運営できる仕組みに変えることである。
省人化は、単なる人減らしではない。限られた人材を、治療上必要な個別対応や品質管理など、人が担うべき業務へ振り向けるための再設計である。
安全――経験と注意力だけに頼らない
利益と人員の条件を満たしても、安全性が失われれば給食は続かない。HACCPの考え方と大量調理施設衛生管理マニュアルの遵守は、持続可能な給食システムの必須条件である。
一方で、安全を熟練者の経験や個人の注意力だけに頼る運営にも限界がある。食種、献立、工程、帳票が複雑になり過ぎれば、確認作業が増え、間違いの可能性も高まる。作業を整理し、標準化し、誰が担当しても同じ手順で安全を確保できる仕組みが必要である。簡素化と標準化は、生産性向上だけでなく、安全性を守るためにも欠かせない。
三条件を同時にマネジメントする
利益、人員、安全は、どれか一つを優先し、ほかを犠牲にすればよいものではない。収支の健全化が人員と衛生管理を支え、省人化された運営が経営と安全を守り、安全性が食事提供への信頼を支える。三条件は互いに結び付いている。
一年365日、一日三食の提供は、これからも当然に続くとは限らない。現在の延長線上に先はない。三条件を同じ経営課題として捉え、給食システム全体を組み替えることが求められている。
※HFSA News Letter 第11・14・23号の内容をもとに、普遍的なコラムとして再構成。
