病院・介護施設の給食部門には、管理栄養士、栄養士、調理師、調理員、事務担当者、委託会社など、多くの人が関わっている。
献立作成、食材発注、調理、配膳、衛生管理といった日々の業務は、それぞれの担当者によって管理されている。しかし、「この給食を将来どのような姿にするのか」「どのサービスを残し、何を変えるのか」「どこに投資し、どれだけの効果を出すのか」を、部門全体の視点で判断する人は明確になっているだろうか。
「管理」と「経営」は同じではない
決められた献立や作業を間違いなく実施することは管理である。
一方、経営とは、目標を定め、人・モノ・カネ・時間を適切に配分し、結果を評価して次の改善につなげることである。
個々の業務が適切に管理されていても、部門全体を統括する機能がなければ、食種や個別対応は増え続け、人員配置は過去のままとなり、目的が曖昧なまま設備が導入される。委託費や食材費が上昇しても、対応が後手に回り、年度末になって初めて大きな赤字が明らかになる。
それぞれの担当者が真面目に仕事をしていても、部分最適の積み重ねが、給食部門全体の非効率を生むことがある。
「経営者」とは肩書ではなく機能である
ここでいう経営者とは、病院や施設の理事長、院長だけを指すものではない。また、利益だけを優先する人でもない。
栄養・献立、患者サービス、食材調達、人員・工程、衛生・品質、設備投資、部門収支を一体的に捉え、給食の方向性を判断する人である。
担い手は管理栄養士でも、事務管理者でも、複数職種による横断チームでもよい。重要なのは、誰が責任を持って全体を見ているのかを明確にし、判断に必要な権限と情報を与えることである。
管理栄養士に、従来業務や臨床業務を抱えたまま「経営も考えなさい」と求めるだけでは機能しない。経営を担うための時間、教育、収支データ、意思決定権限を組織として整える必要がある。
給食の経営者が行うべきこと
給食部門の経営者には、主に次の役割が求められる。
1.食事の質、安全性、患者満足度、収支に関する目標を定める
2.食数、食種、個別対応、人員、労働時間、原価、残食などを数値で把握する
3.栄養基準や献立の標準化、生産方式、人員体制、直営・委託、設備投資を判断する
4.計画と実績を定期的に比較し、改善を続ける
新しい厨房機器や調理システムを導入すること自体が目的ではない。導入によって何を改善し、いつまでにどのような成果を出すのかを決め、検証することが経営である。
臨床栄養と給食経営は両輪である
臨床栄養の充実と給食運営の効率化は、対立するものではない。
安全で安定した食事提供が続かなければ、患者の栄養管理も成り立たない。反対に、採算性だけを優先して治療上必要な食事まで削れば、給食の存在意義を失う。
両者のバランスを取り、限られた経営資源を本当に必要なサービスへ振り向けることが、給食部門の経営者に求められる役割である。
給食は、1日3食、365日止めることのできない事業である。
必要なのは、現場を監督する人だけではない。給食の未来に責任を持つ「経営者」である。
※HFSA News Letter 第3・4・6・20号の内容をもとに、普遍的なコラムとして再構成。