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【会長コラム】vol.17 食材費・人件費・光熱水費をひとまとめにしない

給食経営が厳しくなると、食材費、人件費、光熱水費の高騰が一括して語られやすい。確かに、いずれも部門収支を圧迫する支出である。しかし、三つの費用は発生する仕組みも、増える理由も、改善方法も異なる。運営コストという一つの箱に入れてしまえば、どこで何が起きているのか分からなくなる。

現状分析では、年間総額だけでなく、一食当たりの金額、支出に占める構成比、前年からの増減を費目ごとに示す必要がある。

食材費――価格と使い方を分けて考える

食材費は、仕入価格だけで決まるものではない。食種や献立数、使用食材の種類、発注量、納品単位、歩留まり、廃棄量によって変わる。価格上昇という外部要因があっても、献立のグループ化、使用食材の共通化、共同仕入れ、適正在庫によって改善できる部分は残されている。

ただし、安い食材への切り替えだけを目標にしてはならない。下処理に多くの時間がかかる食材を選べば、人件費や水道・エネルギー使用量が増えることがある。購入単価だけでなく、提供までに必要な総費用で評価すべきである。

人件費――人数ではなく業務量を見る

人件費は、賃金単価と総労働時間に分けて考える必要がある。最低賃金や採用条件の上昇は避けにくいが、必要な労働時間は、食種数、個別対応、献立展開、作業工程、勤務配置、生産方式によって変わる。

人件費が高いからといって、直ちに人を減らせばよいわけではない。複雑な業務を残したまま人数だけを減らせば、残業、欠員、離職、確認不足を招く。先に業務を簡素化・標準化し、人が担うべき仕事へ配置し直すことが省人化の基本である。

光熱水費――単価と使用量を分けて見る

光熱水費も、請求額だけを見ていては原因をつかめない。電気、ガス、水道を分け、さらに契約単価と使用量を確認する必要がある。料金単価が上がったのか、機器の稼働時間や洗浄回数が増えたのかでは、打つべき対策が異なる。

加熱、急速冷却、冷蔵・冷凍、再加熱、食器洗浄など、工程別に使用状況を確認する。厨房面積や設備能力が食数に対して過大であれば、使っていない時間にも固定的な負担が発生する。省エネ機器への更新だけでなく、工程や生産方式そのものの見直しが必要になる。

三つの費用は相互に動く

完調品を導入すれば、食材費や購入費は上がることがある。一方で、下処理や調理が減り、人件費と光熱水費が下がる可能性がある。反対に、食材費を抑えるため自家調理を増やせば、人員、設備、エネルギーの負担が増えることもある。

したがって、三つの費用をすべて同時に下げることを目標にしてはならない。ある費目の増加を認めても、総原価が下がり、安全で安定した提供につながるなら、経営改善である。

食材費は調達と献立、人件費は業務量と工程、光熱水費は単価と使用量に分けて分析する。そのうえで三つを再び合算し、トータルコストと提供価値を比較する。費用を分けて見ることが、給食システム全体を正しく判断する出発点である。

※HFSA News Letter 第15・16・20・24号の内容をもとに、普遍的なコラムとして再構成。

 

 

 

 

 

窪田 伸

株式会社ミールシステム 取締役会長
一般社団法人ヘルスケアフードサービスシステム協会 代表理事
1976〜2005年株式会社セントラルユニに勤務。
1980年〜1982年宮川フードサービス研究所に出向。
1994年に国内初のクックチルシステムをJA札幌厚生病院に納入。
1998年には国内初のニュークックチルシステムを柳原病院に納入。
2004年国内最大級のニュークックチルシステムを福井県立病院に納入。
2005年株式会社ミールシステム設立、代表取締役に就任、2018年同社取締役会長に就任。
2020年一般社団法人ヘルスケアフードサービスシステム協会 設立、代表理事就任。
2014年〜2022年一般社団法人日本能率協会「HOSPE×Japan」病院・福祉給食セミナーコーディネーター
2014年〜2016年一般社団法人日本フードビジネスコンサルタント協会理事
2019年〜2020年ヒトタ食品株氏会社取締役

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