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【会長コラム】vol.12 患者食だけでなく、職員食・ビジター食まで含めて考える

病院給食は、患者に治療上必要な食事を提供することが中心である。この役割が最優先であることに異論はない。しかし、給食部門の経営を患者食だけで考え続けてよいかは、改めて検討する必要がある。

患者食の収入は制度によって定められ、病床稼働や入院患者数にも左右される。一方、厨房設備や人員、衛生管理には一定の固定費がかかり、食材料費、人件費、エネルギー費は上昇している。患者食だけを対象にした閉じた運営では、収入を増やす余地が限られる。

食事療養費の見直しを求めることは必要である。しかし、それだけを待つのではなく、自ら売上をつくる発想も持たなければならない。

病院全体の食事需要を捉え直す

病院には、患者だけでなく、多くの職員や来訪者がいる。患者食に職員食とビジター食を加え、病院全体の食事需要を一つのフードサービスとして捉えれば、売上のパイを広げられる可能性がある。

生産食数が増えれば、食材の一括購入や共通化が進み、厨房機器や作業人員をより有効に活用できる。一定の追加コストで生産量を増やせるなら、一食当たりの固定費負担を軽減し、スケールメリットを生み出すこともできる。

職員食は、毎日勤務する職員に安定した食事を提供する機能となる。ビジター食は、患者家族や来院者にも食事サービスを開くことにつながる。給食部門を患者食の製造部門だけにとどめず、院内の食を広く支える部門として再設計する視点が必要である。

共通化できる部分と分ける部分

ただし、患者食、職員食、ビジター食をすべて同じ食事にすればよいわけではない。患者食には、病態、嚥下機能、アレルギーなどに応じた栄養管理と確実な提供が求められる。一方、職員食やビジター食では、価格、選択肢、利用時間、満足度が利用の継続を左右する。

役割の違いを整理したうえで、食材、基礎献立、下処理、調理工程など、共通化できる部分を見極める必要がある。一般食を基礎として展開できる献立を増やし、個別対応が必要な部分は明確に分ける。対象を増やすことが、新たな多品種少量生産を招いてはならない。

食数ではなく利益が残るかを検証する

食数や売上が増えても、それ以上に人件費や食材料費、廃棄、販売管理費が増えれば、収益改善にはならない。価格設定、需要予測、営業時間、提供方法、注文・会計、追加人員、厨房能力を事前に検証しなければならない。

特にビジター食は、利用者が少なければフードロスを生みやすい。施設の立地や来院者数によって条件も異なる。すべての病院が同じ方式を採用するのではなく、職員食から始める、時間帯を限定する、予約方式にするなど、小さく試して実績を確認することが現実的である。

患者食、職員食、ビジター食を一体で考える目的は、単に食数を増やすことではない。限られた厨房、人員、設備を有効に使い、必要な品質と安全を守りながら、売上と生産性を高めることである。患者食だけを前提とした給食経営から、病院全体の食を支えるフードサービスへ発想を広げることが求められている。

※HFSA News Letter 第12号の内容をもとに、普遍的なコラムとして再構成。

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