給食部門の収益改善というと、食材料費を下げる、人員を減らす、光熱水費を抑えるといった支出削減が先に論じられがちである。もちろん、無駄なコストを放置してよいわけではない。しかし、収支は収入から支出を差し引いた結果である。支出だけを見ていては、改善には限界がある。
さらに、削減の仕方を誤れば、食事の品質や安全性が低下し、職員の負担が増え、人材の定着まで損なう。これでは一時的に数字が良くなっても、持続可能な経営改善とはいえない。
収入と支出を同じ精度で把握する
最初に必要なのは、給食部門の収支構造を計数化することである。収入は、食事療養費や栄養指導などを区分して捉える。支出は、食材料費、人件費、委託管理費、光熱水費、消耗品費、リース費、減価償却費、管理費まで明らかにする。
そのうえで、提供食数、食種数、個別対応、労働時間、食事生産性、フードロス、設備稼働率などと結び付けて分析する。何にいくらかかっているのか、どこに余力があるのかが分からないまま一律の削減目標を掲げれば、必要な機能まで損なう恐れがある。
売上のパイを広げる視点
生産性向上には二つの方向がある。売上を維持しながら投入する費用を減らすことと、投入を大きく増やさずに売上を増やすことである。後者の視点を、給食部門はもっと持つ必要がある。
患者食だけで設備と人員を使うのではなく、施設の条件が整えば、スタッフ食やビジター食を組み合わせる。複数施設への供給や共同生産を検討し、生産量を確保してスケールメリットを生かす。対象を広げることで、厨房や設備の稼働率を高め、固定費をより多くの食数で負担できる可能性がある。
ただし、食数を増やせば自動的に利益が増えるわけではない。販売数量と単価、追加する人員、食材、配送、設備負担を試算し、利益が残る仕組みかを事業計画で確かめなければならない。
コスト削減を仕組みの改善に変える
支出の改善も、単価交渉や人員削減だけで終わらせてはならない。栄養基準と食種を整理し、献立をグループ化する。使用食材を統一し、調理工程を標準化する。完調品や外部生産も組み合わせ、省エネルギーとフードロス削減を進める。
必要なのは、仕事を残したまま人数だけを減らすことではなく、少ない投入で同じ、またはそれ以上の成果を出せるシステムへの転換である。
セントラルキッチンや新しい調理設備への投資も同様である。導入しただけで収益は改善しない。初期投資、借入金利息、運営費、人員削減効果、売上見込みを整理し、長期の収支とキャッシュフローから回収可能性を判断する必要がある。
収益改善とは、単に支出を小さくすることではない。収入を確保し、生産性を高め、適正な投資を行い、安全と一定の満足を守りながら利益の残る構造をつくることである。ビジョンと戦略を定め、収入と支出の両面から給食システムを組み替えることが求められている。
※HFSA News Letter 第7・12・15・16号の内容をもとに、普遍的なコラムとして再構成。
