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【会長コラム】vol.10 制度改革を待ちながら、現場の自助努力も止めない

病院・介護給食の経営が厳しいのは、現場の努力不足だけが原因ではない。とりわけ病院では、入院時食事療養費という公定価格が長く抑えられてきた一方で、食材料費、人件費、光熱水費は上昇し、人手不足も深刻化している。一施設の工夫だけでは埋められない構造的な問題があり、制度改革と給食料収入の増額は最優先で求めなければならない。

そのためには、行政、病院団体、栄養士会、給食会社、関係団体が立場を越えて連携し、給食に必要なコストを客観的な数字で示す必要がある。食事提供を社会保障の中でどのように支えるのかという議論を、現場だけに背負わせてはならない。

食事提供は制度改定まで待ってくれない

一方で、制度改革がいつ、どの程度実現するかは分からない。仮に増額されても、それだけで長年続いてきた赤字や人手不足が解消されるとは限らない。その間にも、給食現場は毎日三食を提供し続けなければならない。

制度が変わらないから何もできないと考えれば、問題はさらに大きくなる。制度改革を求めることと、施設内で改善を進めることは、どちらか一方を選ぶ話ではない。外部へ働きかけながら、自ら変えられる領域には直ちに手を付ける必要がある。

自助努力を「我慢比べ」にしない

ただし、自助努力とは、職員の人数を無理に減らし、残った人へ負担を押し付けることではない。食材料の質を下げ、安全性や必要な栄養管理を犠牲にすることでもない。そのような対応は一時的に費用を抑えても、離職や事故、サービス低下を招き、持続性を失わせる。

取り組むべきは、給食システムそのものの見直しである。まず収入、支出、食数、人員、労働時間、生産性を数値化する。次に、栄養基準や食種、献立、個別対応を整理し、施設内でつくるものと外部から調達するものを分ける。完調品、共同購入、地域での共同生産も含め、人手と費用を有効に使える仕組みに組み替える。

改革は、現状分析、目標とのギャップ確認、具体策の立案、実行、検証という順序で進める必要がある。目の前の困り事だけに対処し、機器の導入や部分的な省力化から始めても、全体との整合がなければ効果は限定的である。

現場の改善が制度改革の根拠になる

施設内の努力には限界がある。その限界を明らかにするためにも、自助努力は必要である。改善を尽くしてもなお埋められない収支差や確保できない人員を数字で示せば、制度改革を求める主張は、より具体的で説得力を持つ。

反対に、収支も生産性も把握せず、従来の運営を続けたまま制度だけを批判しても、何が制度上の不足で、何が内部の課題なのかを説明できない。外部要因と内部要因を分けて検証することが重要である。

中長期では制度の抜本的な改革を求める。同時に、短期では今できる対策を実行する。給食の未来を守るために必要なのは、改革を待つ姿勢ではなく、改革を求めながら動き続ける姿勢である。

※HFSA News Letter 第4・13・17・20・22・23号の内容をもとに、普遍的なコラムとして再構成。

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