病院や介護施設の給食部門では、「赤字でも仕方ない」という言葉を耳にする。食事療養に関する収入には上限がある一方、食材料費、人件費、光熱水費は上がり続けている。さらに、患者一人ひとりに合わせた食種や個別対応も増え、現場の負担は大きい。制度上の厳しさがあることは間違いない。
しかし、外部環境が厳しいことと、赤字を検証しなくてよいことは別である。赤字を「給食だから当然」と受け止めた瞬間、改善の入口が閉じてしまう。同じ条件下でも、収支を保っている施設や、赤字幅を縮小している施設は存在する。
その差は、現場職員の努力だけでなく、食種の整理、献立と使用食材の標準化、作業工程、勤務配置、委託契約、設備投資、減価償却までを含め、給食を一つの事業として管理できているかに表れる。
必要なのは、現場を責めることではない。まず、収入と支出を一食当たり・費目別に可視化し、「制度や物価など自施設だけでは変えにくい要因」と「施設内で見直せる要因」を分けることである。そのうえで、栄養、安全、おいしさを守りながら、過剰な個別化はないか、工程をまとめられないか、設備や外部サービスを適切に活用できないかを、栄養部門と経営部門が一緒に検討する。
改善は、単発のコスト削減で終わらせてはならない。現状分析によって赤字の構造をつかみ、目標値と期限を定め、実行後に数字を確認する。設備更新や厨房再編も、導入時の魅力だけでなく、稼働後の人件費や減価償却を含む収支計画で判断する必要がある。
給食は、止めることのできない医療・福祉サービスである。だからこそ、善意や根性だけに支えられた仕組みでは長続きしない。赤字をすぐにゼロにできなくても、その理由を説明し、改善策を選び、成果を確かめることはできる。
「仕方ない」で思考を止めず、持続できる給食へ一歩ずつ変えていく。それが、これからの給食部門に必要な経営の視点である。
※HFSA News Letter 第4・13・14・19・20・22・23号の内容をもとに、普遍的なコラムとして再構成。
